ちらちらちらちらちらちらちらちらちらちらちらちらちらちらちらちらちらちらちらちらちらちらちらちらちらちらちらちらちらちらちらちらちらちらちら・・・・・・・・・

あーーーーーーもう!
マジうぜーーーーーーーーーーーー


5時限目の選択授業の時間中、真田の視線は教室の前の席に座るさんの右後頭部→肩→黒板→ノートと忙しく行ったり来たりしてる。んなに見つめたら穴があくんじゃねーの?ていうぐらい見つめてるけど、どうやら真田は無意識にそうしてるっぽくて、本人はいたって真面目な顔で前を睨んでいる。 なんで俺がんな事に気づくかっていうと先生の話に興味がないからで、ノートをとる気もないからで、ていうかそれ以前に斜め前に座る真田のでっけー背が邪魔して、黒板がよく見えないからで、ムカついて割れた消しゴムの端でも投げてやれと思ってたら、その真田の気色わりー視線に気づいちゃったわけで。 

ああーーもうマジ勘弁してくれよ、ていうか勘弁してやれよ。
さんとかって、マジかよ。意外に真田って面食いだったのか、あーていうかそれもうぜーーー。

ジャッカルが1cmだけ髪の毛伸ばすぐらいうぜーよ、暑くて死にそうな日に、首までネクタイしめた柳生に遭遇するぐらいうぜーよ。仁王が他の女と歩いてるのを彼女に見られたら毎回「姉貴だ」て言い訳してるぐらいうぜーよ。柳が・・・・・・てもういいか。

「丸井!」
             
うっわ、やっべ、ノートとってねーのバレた。げっ、斜め前の真田がいかにも「たるんどる!」て目でこっち睨んでる。うっせー、たるんでるのはお前だ、だるっだるっだ!おいこらっ!睨むついでにこっちに顔向けたさんの顔をちら見すんのやめろ!うわああ・・目尻さがった、こいつ絶対今心の中で「可愛い」て思ってる。

マジうぜええええええーーーーーーーーーー。
今日部活行きたくねーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




職員室で先生にたっぷり5分説教された後で、俺は教室にもどった。で、席に座ってポケットにあったコーラ味のチュッパチャップスを口に入れた瞬間、後ろから聞こえて来た会話に全俺がぶっ飛んだ。


「そういや、て目悪かったけ?選択授業の席かわったげたけどさ」

「ううん、目は悪くないよ」

「あの授業、先生が目ざといから前の席だと疲れない?」

「うーん、そうかもしれないけど色々楽しいよ?」

「ふーん」

「あたしも気兼ねしなくていいし」

「?」



やっべえ、この女確信犯だ。

さっきあれほどうぜーーと思ってた真田に、今俺は心から同情しはじめていた。こんな女の手にかかったら恋愛偏差値マイナス切ってる真田を落とすことなんざ、赤子の手をひねるより簡単だろうぜ。あれ?でも真田に赤子の手をひねるよりって表現は可笑しくねー?真田自身、恋愛に関しては、中身は二歳児と変わんねえじゃん?ツラはガチで成人式二回こなしてる感じだけどな、ははははははははははははははははははは

そう思って馬鹿笑いした途端、口からぽろっとチュッパチャップスが
床に落ちた。



やっべえ。







090429